岩手県一関市、時宗 不退山 長徳寺

0191-63-3988

〒029-3521
岩手県一関市藤沢町保呂羽字宇和田18

【朝日新聞掲載】

朝日新聞2019.12.20 朝刊に掲載されました。
いよいよ「岩手の蘇民祭」シーズン突入!
1/2~3/17(岩手県南11社寺)

蘇民祭(岩手県南の11社寺)

 厳寒の夜、水ごりをし、火の粉を浴びて身を清めた人だけが参加できる「蘇民祭」。最後に裸の男たちがもみくちゃになって護符の木片(小間木)が入った蘇民袋を奪い合う姿が、奇祭と言われるゆえんだ。そんな伝統行事が1月から3月の間、岩手県南の11社寺で行われる。

 最も歴史を誇るのは奥州市水沢黒石町の黒石寺。約1200年前から続くとされ、蘇民袋争奪は旧正月8日早暁に行われる。前夜10時から川で身を清めてから臨むが、その何日も前から参加者は肉類を絶つなどそれぞれの流儀で精進潔斎する。家族とは別の自分用風呂を作り入る人もいるという。そうして自分を戒め、律する中で「日常とは別の小宇宙が生まれる」と金ケ崎町西根の千葉周秋・地域文化学研究所所長(71)はいう。「体の中が入れ替わるような気分を味わったことがあります」

 戦後まもなくまで29社寺で行っていたが、深夜から未明まで続く厳しい内容から参加者が減り、祭り自体が減っていった。そんな中で千葉さんの地元の永岡蘇民祭は1989年に誕生した。前年、町に3日3晩雨が降り続き、農作物が大打撃を受けた。「民を蘇(よみがえ)らせる祭りを」と農家の若者が千葉さんに協力を求めた。

 蘇民祭は、困っていた神様に蘇民将来という人が親切にしたのがきっかけと伝わる。そのお礼に神様は「あなたの子孫に災いが起きても逃れられるようにする」と約束した。子孫であるという証拠は「蘇民将来」と書かれた小間木。その由来とは別に、永岡蘇民祭は、地域おこし行事として定着した。

 一関市藤沢町保呂羽の長徳寺では50年間途絶えていた小間木・蘇民袋争奪が7年前に復活した。「蘇民将来のおもてなしの心を大切にしたいと思いました」と渋谷真之住職(44)。その代わり、祭りが日中に終わるよう開始時間を午前8時にした。「伝統を復活しながら、できるものは省略した」という。

 黒石寺は伝統を継承しているが、ほかの社寺は簡素化の傾向にある。時間も内容も異なる11社寺。どこに行きましょうか。

     ◇     ◇

 11社寺の日程は▽1月2日、花巻市矢沢の胡四王神社▽同、平泉町平泉の達谷窟毘沙門堂▽12日、一関市大東町の興田神社▽18日、奥州市江刺の伊手熊野神社▽20日、平泉町平泉の毛越寺▽26日、金ケ崎町永沢の永沢土地改良区駐車場▽31日、花巻市石鳥谷町の光勝寺▽同、奥州市水沢の黒石寺▽2月1日、奥州市水沢の鎮守府八幡宮▽3月1日、一関市藤沢町の長徳寺▽17日、花巻市大迫町の早池峰神社。

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